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相続分皆無証明書と相続回復請求権

相続分皆無証明書
「相続に必要だから、この書類に実印を押して、印鑑証明を下さい。ハンコ代として30万円お渡しします。」と言われ、そのまま言うなりにしましたが、「これって 何?」 相続分の在しないことを証明しますとなっています。


この書面のことを
「相続分なきことの証明書」
「特別受益証明書」
「相続分皆無証明書」
「相続分不存在証明書」などといいます。


この証明書で容易に相続登記ができるため、登記実務で盛んに活用されてきました。相続遺産の約70%を占める不動産はこの証明書により、他の共同相続人に遺産を集中帰属させ、相続登記を済ませ、簡便に遺産分割を終了させるのです。

もちろん、正規の遺産分割手続きではないので後日紛争が生じることがあり、知人の司法書士の先生も「この書面はわたしは活用しない」と言っていました。しかし、現在でも地方の田舎に行くと昔の相続登記がしっかりとされていないため、昔の名義のままになっていて数次相続になり権利者が複雑で道路整備もままならない時に使われる例はあるようです。

したがって、「相続分皆無証明書」は、その内容を理解しご本人の自由意思に基づいて作成・交付したのであれば虚偽の内容による無効の申し立てはできませんが、「この書面に印鑑押して」と言われた場合の証明書の利用は慎重を期することが必要でしょう。後日紛争が生じたときのことを考えますと、遺産分割協議書を作成したほうが賢明だと考えます。

参考判例・審判

大阪高判 昭49.8.5  判タ315-238
福島家審 昭53.8.16 家月31-6-44
東京高判 昭59.9.25 判時1137-76
大阪高決 昭46.9.2  家月24-11-41
名古屋地判 昭50.11.11 判タ813-70
高松高決 昭36.1.8  家月14-7-62
東京高判 昭56.5.18 判時1007-65
奈良地判 昭55.1.28 判タ420-121
東京高判 昭45.9.21 判時1137-76
大阪高決 昭40.4.22 家月17-10-10
名古屋高金沢支決 平9.3.5 家月49-11-134
仙台高判 平4.4.20  判タ803-228

相続人の登記に関する判例
平成3年判決 最高裁平3.4.19判決
平成7年判決 最高裁平7.1.24判決
平成11年判決 最高裁平11.12.16判決



相続財産回復請求権

相続財産回復請求権とは、真正な相続人が、表見相続人に対し、侵害を排して相続権を回復させるという権利のことです。(民884条)
相続財産回復請求権は、相続権を侵害されたことを知った時から5年間または、相続開始の時から20年間行使しないと時効により消滅してしまいます。


相続回復請求権については、種々の問題について解釈が争われ、また判例も統一されておらず、未解決な問題が多いのが現状。

共同相続人の一人が他の相続人の持分に相当する遺産を占有している場合は、ほとんど相続回復請求権は問題にならいことななります。したがって侵害された相続人の請求は、所有権に基づく返還請求権等になります。私見ですが5年間という消滅時効は問題とならないケースが多いということになりますね。。。

参考判例・審判
最高裁判 昭53.12.20  民集32-9-1674
最高裁判 昭54.4.17   判時929-67
最高裁判 昭54.7.10   民集33-5-457
最高裁判 平11.7.19   判時1688-134
最高裁判 平7.12.5    判時1562-54


















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